この時期、おそらく卒業論文(以後、卒論)や修士論文(以後、修論)の本文作りに手がけている頃だと思います。したがってこんな記事を年末に書いてもあまり意味はないかと思うのですが、年末くらいしかまとまった時間も取れないので、書きます。
卒論や修論といった学位論文では「はじめ」「中」「終わり」の「中」の部分から書くことになろうかと思います。そして、学位論文は文字数制限がないので、丁寧に書くことです。
以下に記す内容は、基本的に、博士論文にも共通しています。
国が出す文書を読んでもわかりにくいという方が多いと思います。それは、一文が4行や5行にまたがるような長文になっているからです。一文は、短くした方がわかりやすいです。
書き方、概略
学位論文は概ね以下のような構成になっています。
「はじめに」「総合考察」を章として立てるかどうかは、研究室によると思います。
第1章(はじめに のような章)
第2章(「中」の部分)
- 方法
- 結果
- 考察
- 第2章における結論
第3章(「中」)
- 方法
- 結果
- 考察
- 第3章における結論
第4章(総合考察、投稿論文では おわりに のような章)
調査の内容や種類ごとに章が分かれるようなイメージです。一つの結論は一つの章としてまとめます。
「中」から書こう
つい、上から順に「はじめに」から書いてしまいそうなところです。しかし、いきなり「はじめに」から書こうとしても書けないことが多いです。たとえ最初に書いたとしても、「中」の部分を書くうちに当初とは論理構成を変える必要性が出てしまい、結局書き直すことになりかねないです。したがって、筆者である自分が学位論文全体像を把握するために、「中」の部分から書きます。
方法は、丁寧に書く
次に、「中」の部分について。
方法では、単純にしたことや手順を丁寧に書きます。
再現性の担保という意味で、書き漏れがないようにする必要があります。
図表を中心に構成する
結果は、図表を中心に構成しましょう。図表と図表タイトルだけを見れば、何を言いたいのかが概ねわかるようなものが理想です。そして、どの図表からそのようなことを言っているのか、データの出自がわかるように明記しておきます。
以下のような書き方になろうかと思います。
「図1に示す通り、ーーー。」「ーーーしたところ、ーーーであった(図1)。」
図表タイトルは重要です。いかにして端的に図表の言いたいことを言い表すかが大切です。
考察では、言い過ぎない。かといって、言わなすぎもダメ
論理の飛躍に注意です。
まずは一度書いてみて、後で「本当に誰がみてもそう言えるだろうか?」と自分の書いた文章を自分で疑問に持ちながら、文章を読み返して見ることです。
得た情報というのは粒でしかありませんから、あまり一般的なことを言いすぎてはいけません。
かといって、論理の飛躍を恐れるあまり言わなすぎになると、面白くない結論になります。
情報は一致させる
同じ学位論文の中では、使う用語は統一しましょう。誰がみても納得するように書きます。だからこそ、論文では定義を大事にします。筆者にとっては同じような言葉でも、読み手からすると同じように思えないこともあります。それだけ使うことはには注意が必要です。
次に、「方法」「結果」「考察」で書く情報は、全て繋がるようにしましょう。
「方法」では出て来ないけど「結果」では出てくる、「結果」で書き忘れたのに「考察」には出てくる、などは論外ですので、注意しましょう。
「中」の部分はこのような感じです。
これが書けてからようやく、「初めに」を書くような雰囲気です。博士論文の場合は、投稿論文という形で既に「中」の部分が仕上がっています。したがって、上記の手順は投稿論文を出すときに済ませていることになります。博士論文の場合、基本的には、文言は変えない方が良いです。用語の統一を図るために文言を変える場合でも、上記のように言葉が変わると前提が大きく変わってくるので、慎重な変更が必要です。