YouTubeでコメントを頂きました。大学院生をしながら非常勤講師はできるのかどうか,ということについて。
結論から言うとできますが,時間には注意です。
以下の順でお話しします。
なおここは通常の修士課程の大学院の事をお話ししますので,専門職大学院は別になります。その点はご了承ください。
大学院生で非常勤講師はできるけど,注意が必要
僕がかつて修士課程の学生をしていた頃は,非常勤講師をしながら大学院生をしていました。周りの人達を見ても,割と非常勤講師をしながら大学院に入っている人が多かったように思っています。
非常勤講師はアルバイトより時給がいいですし,短時間でわりと高い給料を得ることが可能なので,そのような理由で非常勤講師をする人が多かったのだと思います。
大学院の授業と非常勤講師としての勤務が時間的に重複しなければ可能だと思います。非常勤講師の場合は毎日出勤するという勤務形態を取らなくても良いので,授業がある日は非常勤講師の仕事を入れないと言ったことも十分に可能です。そこは,学校との調整になると思われます。
大学院生のスケジュール
具体的な話をするために,大学院生のスケジュールからお話ししようと思います。
修士課程の学生の場合ですと,2年間で30単位ほど取得することが多いようです。その30単位は,1年間で取り切ってしまいます。半期で最大で15科目ほどですね。大学によっては30単位のうちのいくらかは,授業以外のものが単位になるという形態をとっているところもあります。したがって,概ね12科目から15科目を,1年間で取得するということになるでしょう。
ではこれがどのぐらいの時間になるのだろうかというお話ですけれども,大学学部の一年生が,おおよそ半期で28単位取得するということを考えますと,大学1年生が半期で取得する単位を,大学院修士課程1年生は,1年間で取得するということになります。授業がパンパンに詰まっているという状況ではありません。大学4年生の時よりは授業が多いと思いますが,まあそれでも特段多いという状況ではないと思います。
修士2年生の場合は,授業はありません。その代わり,12月くらいから修士論文に着手します。
その空いた時間に非常勤講師としての仕事を入れるということになります。
非常勤講師のスケジュール
それでは非常勤講師のスケジュールについてもお話しをします。
非常勤講師は,勤務時間がこれと定まっているわけではなく,求められる時間数に応じて勤務することになります。勤務条件は年度当初の段階で決めますので,年度途中で増えたりとか減ったりとかするということは基本的にはありません。
以前は,非常勤講師は授業するコマ数に応じて給料が発生するシステムでした。ですから,例えば2時間目と4時間目に授業がある場合,2時間目と4時間目が勤務時間ということになって,3時間目は勤務時間ではないというような扱いになっていました。
しかし現在は会計年度任用職員という制度に変っていまして,非常勤講師も何曜日の何時から何時までというように勤務が割り振られるようになっているようです。それに伴って,コマ給制であった給料が,純粋な時給制に変わりました。
したがって現在では,何曜日の何時何分から何時何分までと言った勤務の割り振られ方をします。以前と違って,授業の終わり=勤務の終わりということではなくなったという点は注意が必要です。
最も多いものだと週30時間勤務の非常勤講師があるとおもいます。これは要するに月曜日から金曜日まで毎日勤務するけれども,常勤講師のように8時間勤務+休憩時間という設定ではなく,早く帰るというような勤務形態です。このような勤務形態の非常勤講師の場合は,受けることができません。なぜなら,大学院の授業と必ずブッキングします。そもそも,大学院生をしているのに月曜日から金曜日までの平日昼間の時間すべてを非常勤講師の仕事に費やすというのは,全く現実的ではありません。
両立のポイント,注意すべきこと
では,どのような非常勤講師ならできるか。例えば中学校の理科だけを担当する,あるいは高等学校の農業科だけを担当するというような非常勤講師であれば,授業がある曜日ないしは自分が勤務可能な曜日にしか授業が入らないということになりますので,この場合は大学院生と非常勤講師の両立は可能になってくると思います。
両立のポイントが,「非常勤講師の勤務時間は何時間にするか」というところです。
週3日勤務にすると,事実上平日まるまる使える日が二日しかなくなるということになります。このような場合は,割と負担になると思います。週3日勤務にする場合は,例えば1日は勤務時間が長いけれども残りの2日は午前で帰るとか,そのような勤務形態を取らないと難しいと思います。
ちなみに僕は週2日勤務にしていたんですけれども,その場合,両立は可能でした。
授業をするのは,大変です
ただし気をつけないといけないもう一つの点があります。それは授業の準備ということです。
当たり前ですが,非常勤講師として授業するんですけれども大学院生をするということは,多くは教職の経験はないということが考えられます。その中で授業の準備をしっかりしようと思うと,割とまとまった時間が必要で、これが意外に大変です。
自分が何コマ授業を担当するのかというところに依存してくると思いますけれども,担当授業数が多いほど当然ながら準備にかかる時間は多くなります。
勤務時間を増やしすぎると,確実に大学院の方を圧迫することになります。大学院での学業を圧迫しない程度の勤務時間に止めるという塩梅が,とても重要になります。
勤務時間の希望については,講師登録をする際に記入することができる場合もありますし,希望を聞かれますので,その時にこのぐらいまでしかできない,という希望をはっきりと伝えておくことです。
基本的には,一度勤務時間が決まると,1年間は変動することはありませんので,最初の条件がとても重要です。
苦労したこと
僕の場合は,M1で非常勤講師をしました。遠方の学校だったのですが,勤務日に大学院の授業で6限,7限のものがありました。後期から7限はなくなりましたが,朝早く,夜遅いので,とても大変でした。あわせて,講師経験も初めてでしたので,週2日勤務でしたが大変だった記憶があります。ただ,やっていけました。時間設定はとても重要です。
可能ですが,注意が必要です
まとめますと,大学院生をしながら非常勤講師をするのは可能です。しかし,授業の準備が必要であるということと,勤務時間を増やしすぎると確実に大学院の学業を圧迫することになる,という点については注意が必要です。しかし,コンビニや飲食店でアルバイトをすることを考えれば,収入的には多いことは間違いないと思います。